ノウハウ

第1回 店長の力で売上が決まる時代!

お店は店長一人で決まる

店数が何百店舗であろうと、例え何千店舗であろうとも、お店は店長一人で決まる。
勿論、一店舗しかないお店でも当然同じである。
同じメニュー・同じ価格・同じ店構え、そして同じマニュアルを使っても、店長が代われば、結果数値が大きく違ってきている。
まさしく、店長の力の差である。
以前であれば、誰がやってもあまり結果の数値には差が出なかったが、厳しい時代になればなるほど、店長によって結果の数値は大きな違いが出てしまう。大変厳しい時代ではあるが、しかし、努力する者にとっては、大変素晴らしい時代の到来である。
昔は一生懸命に努力してもあまり結果としての数値に差が出なかったため、本来評価されるべき人が評価されないこともあったが、今の時代は努力した人だけが結果を出せる、そんな店長にとって報われる時代である。
そんな時代になっているにもかかわらず、いまだに本部が何も手を打たないから業績が悪いと嘆いている店長が多い。
そんなお店に限って、店長が代わった途端に業績が好転したお店を今までに幾つも見てきた。勿論、店長達にも出来ることと、出来ないことはあると思うが、出来ることを最大限に実行しているかは、はなはだ疑問である。
実はこの出来ることの実行力の差が、そのまま業績の差になっているのである。
これは私の経験からの判断ではあるが、出来ることを実行しているレベルには、最低のマイナス20%から、最大のプラス120%までの差があると判断している。  
これが、まさしく店長の力の差による業績の差である。
だからと言って、私は決してチェーン理論を否定している訳ではないではない。
チェーン理論には、素晴らしいマネジメント技術があるし、そのマネジメント技術は今なお進化しているのである。
私が追及している状態は、マネジメントが進化した形での「真の店長の姿」である。
それは、お店の主として、そして経営者としての店長の姿である。
そんな店長達が、お店の発展と会社の発展に貢献し、更には、21世紀の外食産業の発展に貢献するのである。
繰り返し言うが、大変厳しい時代であるが、努力した結果がはっきりと結果の数字に出る、大変素晴らしい時代である。

店長達よ、今こそチャンスの時代である!

昔は、売上は一に立地、二に立地、そしてやはり三番目も立地と言われた時代であったが、今は一に店長、ニに店長の時代である。そしてやはり三番目も店長である。
今こそ自らの力で売上と取り、そして自らの力で利益を高めることで、お店を繁盛店へと導くのである。
私が考える繁盛店とは、年商2億円のお店のことで、年商3億円のお店を大繁盛店と呼んでいる。勿論、小さなお店であれば年商1億円が大繁盛店のお店と言うこともある。
本来お店は、小さく生んで大きくしてゆくのが基本である。つまり、ご来店して頂いたお客さまに満足してもらうことで、もう一度お店に来てもらうことである。
お客さまは本来2度・3度と来なくて当たり前。そのお客さまに2度・3度来て頂く努力をするからお店が繁盛するのである。
しかし、殆どのお店は大きく生んで小さくしてしまっているのが現実である。
つまり、お客さまの2度目・3度目のご来店がないために、どんどんお店が小さくなっているのである。
お店を出した以上は、その地域の人達に愛され、末永く利用してもらうことで、繁盛店となってもらいたいものである。
このことは、最終的にはお店の店長にしか出来ないことである。
そんなお店を繁盛へと導く店長こそが「スーパー店長」である。
今回の連載は、そんなスーパー店長を目指す店長達にエールを送るもので、スーパー店長になるためには、どのように働けばよいかを考察するものである。
私の使命は、全国に80万人いるといわれる店長達に夢と元気を与えることで、この外食産業の発展に貢献することである。
しかし全員が勝者になれる訳ではない。
勝者になれる人には共通した能力がある。
それは成果を挙げるという能力である。
そのためには、理論と実践、そして実践と理論の中から、不断の改善を怠ってはならないということを先ずは覚えておいてもらいたい。
そこで、この連載では出来るだけ具体的な事例と、そして、店長としての物の考え方をリンクさせながら、ムダなく、ムリなく、そして、よリ分かりやすく解説してゆきたいと考える。
併せて基本と応用、つまり基本的なことを確認しながら、成長のための進化する状態についての説明を加えてゆく。
更に、流れを完全に理解してもらうために、全体・部分・全体という手法を取り入れながら、店長の全体像を常に把握しながらも、確実に部分の仕事を取り込むことで業績向上に直結できる論理で展開を進めてゆく考えである。

スーパー店長としての基本姿勢

今の時代、高いマネジメント技術と経営者としてのスタンスが備わっている店長達は、多くのお客さまの満足と共に、高い業績を上げることができている。
売上高も、利益も最終的には店長のマネジメント力と、店長の仕事のスタンスで全てが決定してくる。
そんな彼らが店舗マネジメントを行ってゆく上で共通する点は、会社の経営理念や使命を具体的に商品・サービス、そしてクレンリネスといった店舗オペレーションで、最大限に表現する力を持っていることである。
つまり、彼らは一つひとつの仕事にこだわりと追求を持っているのである。
実はこの表現する力とこだわりに、2倍も3倍もの差があるのである。
それが、同じメニュー・同じ価格・同じ店構え、そして、なんと同じ人を使っても結果が大きく違ってくる要因の一つになっているのである。
だから彼らの店を見ると、お客さまを温かく迎えようという、ホスピタリティーあふれた集団と、そして店の主としての店長の姿が確認できるのである。
彼らの目指しているものは唯一、「お客さまの満足を得る」この一点である。
だから、決して売上高を追うようなことはしない。
彼らは共通して、お客さまの満足を追求した結果としての、売上高だと考えている。
彼らのそんな、お店の主として姿や、経営者としてのスタンスが、お客さまの満足と支持を得ることにつながり、その結果としてお店が大きく育ってゆくのである。
店長と呼ばれる人は全国に80万人いると言われている。しかし、こだわりを持って、経営者としてのスタンスで取組んでいる店長はほんの一握りである。
何度も言うがチャンスの時代である。
自らの力を高めることで、業績が大きく変化する素晴らしい時代である。
レッツ・チャレンジ!スーパー店長への道である。

自らの力で問題点を発見し、自らの力で問題点を解決する

経営者のスタンスと言うと難しいように考えてしまうが、要するに、お店の主としてお客さまに満足をいて頂くために、自らの力で問題点を発見し、そして自らの力で問題点を解決しながらお店を発展させてゆくことである。
お店の歴史とは、そのお店の年月ではない。
改善と進化の歴史でなくてはならない。
その歴史が、あなたのお店を繁盛店、そして大繁盛店への導くのである。
このことを「不断の改善」と言う。つまり、絶え間なくつづくお店での改善活動のことである。
そこでこの不断の改善を進めるに当たっての基本的なプロセスがあるので、ここで紹介する。私はこの不断の改善による問題解決のプロセスを「レッツ・チャレンジ7Steps」と呼んでいる。連載の具体的な事例を通じて詳しく説明してゆくので、今回は問題解決のプロセスについてだけ説明する。

Step1.問題の発見

お店の商品やサービス、そしてクレンリネスといった状態から問題点を発見したり、各経営上の数値から問題を発見することである。

Step2.原因の分析

その問題点が何故起きるのかを原因を突き止めることである。ここでは、本当の原因を見つけ出すことがなにより重要である。

Step3.対策の判断

原因を確定したら、次に行うことはその問題点が解決し、更に今までよりも良くなるための対策案を決定することである。

Step4.行動の計画

対策の判断を確実に実行に移す計画が行動計画である。この行動計画は具体的に何時、誰が、何をするのかと言った計画書のことである。
この計画書に具体性がないと、対策の判断が実行に移されることは先ずない。

Step5.実践の行動

どんなに立派な計画書が出来ても、そのことを実践しなければ成果を得ることはできない。良い成果を得るためには、確実な実践行動が必要である。
成果の90%は、この実践行動で決まる。

Step6.進捗の確認

進捗の確認とは、対策の途中確認を行うことである。言いっぱなしや、やりっぱなしにならないよう、計画段階でこの途中確認を行う日を決定しておくことが重要である。

Step7.結果の分析

結果を把握することが、次への成長に結び付く。
上手くいったのか?上手くいかなかったのか?それはどうして上手くいったのか?はたまた何故上手くいかなかったのか?を分析することである。
このことを行うことで、同じ失敗を繰り返すことはなく、上手くいったことは更に磨きをかけることが出来るのである。

以上が問題解決のための「レッツ・チャレンジ7Steps」である。
このサイクルの基本は、店舗損益に連動した一ヶ月サイクルであるが、問題によっては週間サイクルもある。
店長の仕事は、一日・一週間、そして一ヶ月が基本である。
一ヶ月以上の課題となると、継続と確認が難しく、やりっぱなしになる可能性が高いためである。しかし、3ヵ月後や6ヵ月後の状態目標や数値目標、更には戦力強化の目標は当然で必要である。

スタートは問題の発見

仕事のスタートは、常に問題の発見である。
よく言われる「問題意識を持ち続けよう!」と言うことである。
しかし、お店で仕事をしていると、どうしてもその日暮らしになる傾向があり、ただ単にお店を開けては閉めるという連続になってしまう。
しかし、これだとお店の発展は当然であるが望むことはできない。
自分の体であれば、熱あれば風邪薬を飲んで、風邪を治し、そして活力を取り戻してゆくはずである。しかしお店は、例え急を要するような事態でも、問題意識を持っていなければ、何も言うことはない。
そこで考えたのが、自らによる自店舗診断である。つまり、お店の症状を自らの力で診断し、自らが処方箋を考えることである。
わが社には、スーパーバイザーなる人がいるので、そのことはやってくれると言うのであれば、勿論参考にした方がいい。しかし、お店の本当の実態を見抜けなくて、間違った処方箋をくれる人もいるので注意しなくてはならない。
風邪をひいているのに、胃薬をくれる人である。
問題を発見するための問題意識を持つということのスタートは、あくまでも自分のことである。人から言われて気付くことではなく、自らが問題点を発見することである。
これがお店を良くする原動力になるのである。
しかし、多くの人から学び、多くの人の意見を聞くことも忘れてはならない。
そこで自店舗分析であるが、いろいろな角度からお店を見ると、様々な問題点が山のように発見できる。しかしこれだと問題点の多さからくる混乱が生まれ、なかなか成果に結び付かないことがある。
そこで私は、問題を発見する着眼点を大きく2つの状態と数値という点から捉え、更にそれを6つのテーマに絞り込んでいる。
それは、一つがお店の状態から問題点を発見し、その原因を掘り下げてゆくやり方で、もう一つが各経営数値から問題点を発見し、その原因を掘り下げてゆくやり方である。
問題を発見し、決定的な原因を探し当ててゆくには、非常に効果的な手法である。
一生懸命に努力しているのに、小さな成果しか得ることが出来ないのであれば、それは努力の方向に問題があるか、もしくは努力の仕方に問題があることが考えられる。
仕事には必ず勘所と、つかみ所と言われるものがある。これが合致した時、努力に見合う大きな成果を得ることができるのである。

店長の仕事は農耕

売上で苦しんでいる多くのお店でやられていることは、内外装の改装やメニューの見直し、更には商品の値下げといったことが殆どである。
勿論、このことは大変重要なことではあるが、そこには長期的なお店の繁栄は約束されていない。
一時的な売上が取れて喜んでいても、一年も経たないうちに元に戻ってしまうことは既に経験済みの人が多いと思う。
お店の建て直しは、最終的には人の建て直しである。つまり、最終的には店長の力でお店を立て直してゆくしかないのである。
良くも悪くも、自分の力がはっきりと結果に出る時代である。
これはある一人の店長が着任してから、結果が出るまでのストーリーである。
着任して先ず行ったことは、お店の棚卸。つまり問題点の発見である。
状態や数値からの問題発見は当然であるが、パート・アルバイトの戦力分析、お店のオペレーションの仕組、そして各種マネジメントツールの活用状況等、全ての問題点を洗い出している。
次に行ったことは、パート・アルバイトとの面談である。相手を知り、自分を知ってもらうためである。むやみに手を打っても混乱するだけである。人心を掌握することからスタートしているのである。
ここでようやく、店内整備に入っている。
売上不振を解決しようと、直ぐに販促活動をするようなことは決してしない。
先ずは来て頂いたお客さまに喜んで頂くことに専念しているのである。
最初の販促活動は、商品とサービス、そしてクレンリネスである。
店内整備が出来て、初めて攻めの営業に出ている。
守ることができるようになって、はじめて攻めに転じているのである。
守ることもできなくては、攻めないということである。
こんな、取組みが逆転劇を生むのである。前年割れが当たり前の時代に、オープンして何年も経つ店が、「大入り袋」を出す時代でもある。
このお店も、そんな大逆転劇を演じたお店であるが、店長の仕事の進め方をよく分析すると、それは農耕の仕事と全く同じである。
先ずは、田を耕し、次に種を捲き、そして水をやることで、収穫しているのである。
精魂込めて、耕し、種を蒔き、一生懸命に水をやれば、それだけ収穫も多くなるということである。
一切の手抜きをしないからこそ、お店が繁盛店、そして大繁盛店への道を歩んでゆくのである。
がんばれ!店長 レッツ・チャレンジ スーパー店長への道である。

以上