ノウハウ

第4回 目標と結果の確認

仕事の目的の確認

時代は仕事の進め方に変化を求めている。
今までのように常に上からの指示を待つのではなく、自らの力で問題点を発見し、自ら力で高い目標を掲げ、そして自ら力で挑戦するという、そんな店長像がこれからの店舗を成長させてゆく。
これには、経営者としての考え方や、本来の店の主としての基本姿勢や積極的な行動が基本になっている。
これらの条件をすべて備えた店長こそがスーパー店長である。
そんなスーパー店長達のスタートは、まず仕事の目的の確認である。
その仕事の目的とは、一番に「お客様の満足を得ること」である。
となると全ての判断基準は、お客様の立場に立って、そして仕事の優先順位はお客様第一主義で行わなければならない。
この仕事の目的の確認こそが、スーパー店長達の仕事のスタートである。
だから彼らは共通して、お客様最優先の哲学を自らが実践できているのである。
そのお客様優先の徹底した実践行動こそが、まさしく繁盛店への道となってくるのである。しかし、こんな基本的なことが出来ていない店が実に多い。
だから売上で苦しむのである。
売上高=来客数×客単価と表すように、売上高のスタートは来客数である。
そして、その来客数はお客様の満足度で決まるのである。
それは、お客様最優先の哲学を実践することで、自らの力で来客数を増やし、そして自らの力で売上高を高めることで、店を繁盛店へと導くことである。
仕事の目的の確認とは、そんな店を繁盛店へと導くスーパー店長達の働く基本姿勢である。

目的と目標の確認

次に彼らが行うことは、仕事の目的と仕事の目標の確認である。
これは、「お客様の満足を得る」と言う仕事の目的のもとに、自らの力で問題点を発見し、そして自らの力で正確で高い目標を掲げることである。
この仕事の目的と目標が合致し、そして、自らの力でその目標達成に向けて挑戦した時に、はじめて新たな店の歴史が始まるのである。
全てはお客様最優先に徹した考え方と、その実践行動である。
だからスーパー店長達は、常に常に大きな夢と、そしてお客様を大切にしてゆくサービスマインドを持って、仕事の目的と目標を確認しながら、改善・改革の挑戦を繰り返しているのである。
この仕事の目的と目標の確認をしながら、繰り返される挑戦こそが、自主的な店舗運営が出来るスーパー店長への道にもなってくるのである。
そのためには常に率先垂範、そしてお客様最優先の哲学を自らが実践しつづけ、更なる成長のために、業務に関する知識と経験を積みながら自己育成に努めているのである。
 そこで今回は、そんなスーパー店長達が仕事の基本としている目標設定と行動計画をいかにして行っているかを考察してゆく。

目標とは何か?

一年の計は元旦にあり!と言われるように、我々は小さいときから「今年こそは何々をしよう」と目標を設定していた。
私の場合は、そのほとんどが三日坊主に終わっていたが、読者の中には一年を通してその目標を全うした人も沢山いると思う。
勿論、今でも元旦にはその一年間の目標を決めるが、ようやくここにきて達成できるようになってきた。それは、目標を定義したことと、その目標を達成するために取るべき手段を具体的に決めることが出来るようになったことによるものである。
そこで先ず目標の定義である。
私は、この目標の定義を、「自分が目指す結果の状態」としている。
つまり、目標とはある一定期間の到達点であり、ゴールであるということである。
一年間の目標であれば、12月31日にどんな状態になっているかを具体的に記したものが目標と言うことである。
その年の予算書も、まさしくその年の数値の目標である。
つまりその年の、売上高と利益額が数値で表現されているのである。
だから、その一年間を通して予算を追い続けながら仕事をしてゆくことが店長達には要求されるのである。一生懸命に作った予算も、営業がスタートしたその月から見ないのでは三日坊主と同じことである。
目標は達成してこそ価値があり、達成しなくてはならないものである。
このように、目標とは結果の状態を記したものであるが、一年間の目標となるとその精度と仕事のサイクルとしては難しい面があるため、予算書以外は基本的には月間サイクルで目標と結果の確認を行いながら仕事を進めてゆくのである。
つまり月間で、目標を設定し、月間で行動計画を立て、月間で結果の分析を行ってゆくのである。

目標設定と行動計画

目標の種類にはいろいろとあると思うが、いろいろな視点から目標を設定して行くと仕事が混乱するために、私は大きく目標設定を2つに分類している。
それは、Q・S・Cの店舗の状態を記した「状態目標」と、各経営数値の数値を記した「数値目標」である。
状態目標は行動に即した表現でできるだけ具体的に表現し、数値目標の方は予算比だけにとどまらず、売上前年比や粗利益率の理論差や、人件費の標準差といった副次的なコントロール数値も目標に加える必要がある。
これが目標設定である。
次に行動計画であるが、行動計画とは、目標つまり目指す結果の状態を達成するために取るべき手段のことである。
この行動計画は出来るだけ具体的に表現することがなにより大切である。
ここで注意しなくてはならないことがある。
それは高い志の目標を設定することは重要である、その目標が達成されなくては意味がないということを理解しなくてはならないと言うことである。
目標は達成されてこそ価値があるのである。
そのためには、自分が一生懸命に挑戦できるレベルで目標を設定することである。

多くの人を参画させる

店は店長ひとりで決まるが、店長一人では何もできない。
そこで彼達は、ひとりでも多くの人に目標達成に参画させている。
一人でも多くの協力者を得ることで、大きな成果に結び付くことを知っているからである。店舗組織は大きく分けると、日常の業務(オペレーション)をする人と、時間帯の責任やトレーナーとしての責任を負っている人に分かれている。
勿論一人ひとりに対する協力依頼が基本であるが、24時間などでは、店長一人では現実的にはかなり無理がある。
そこで、時間帯責任者やトレーナーの人たちを中心にしたミーティングで、課題を分担し、店の行動計画をより確実にする必要がある。これが目標の分業である。
目標を分業することで、より細かく計画と実施ができるのである。
何もかも自分ひとりでやろうとしても、すべてが中途半端になり、結局何もできないということになるからである。
そこで彼らは店内会議等を通じて、目標を分業し、全員で店を動かすようにしているのである。

進捗の確認と結果の分析

目標達成に向けた活動がスタートしたら、次に行うことは進捗の確認である。
通常は月中の店内会議等で、進捗の確認とこれからの行動計画を確認するのが基本である。これは、ミーティングによって目標達成の進捗が確認でき、今後の対策について協議ができるからである。
進捗の確認の次は結果の分析である。
仕事のやりっぱなしが一番良くない。
上手くいったこと、上手くいかなかったこと、いずれにしても結果を正しく把握することは、次の仕事につながる。
やりっぱなしは、仕事に発展性がなく、場当たり的な行動の連続になり、最終的には大きな差が出ることになる。
結果分析の手順は以下の通りである。

1.結果の状態を正しく把握する

・Q・S・Cの状態目標の結果を把握する
・数値目標の結果を把握する
・目標との差を明確にする
・標準との差や理論との差を明確にする等である。

2.結果を分析する

・どこが良くて上手くいったのか?  
・どこが悪くて上手くいかなかったのか?
・どうすべきであったのか?等である。

3.今後の対策を決定する

・うまくいったことは、今後とも対策に入れる
・うまくいかなかったことは、原因を潰し、計画の修正をする
・次の行動計画にはすべて取り入れる等である。
以上が目標と結果の確認の大まかな流れである。

レッツチャレンジ7Steps

では、この佐々木店長の次の活動を見てみることにしよう。
佐々木店長は、1月の結果から、問題の発見と原因の分析をし、対策の判断の結果2月度は以下の7つの目標を設定している。
1) Q:ロス記録の完全記入とロス退治(ロス率1.0%以内)
2) Q:ランチ料理の提供率アップ(提供率90%以上)
3) S:最終バッシングの強化(お客様が帰られて1分以内)
4) S:会計後すぐのご案内(3に連動した形で1分以内)
5) C:開店作業の見直しによる時間短縮(3時間以内)
6) C:週間クレンリネスの定着(実施率80%以上)
7) 水道光熱費のムダ取り(前年使用量の95%)
1月度に設定した課題で、完全に達成出来なかったものは引き続き2月度も課題として目標に掲げている。
基本的には、課題は完全に終了するまで追い続けているのである。
課題が終了していない状態で、新たな課題を設定して取組むような中途半端な活動は絶対にしないのである。
課題は実行し成果を挙げることに最大の価値があり、単に高い目標を掲げたところで実行しなければ何の価値もないのである。
さらに課題を中途半端な状態で積み上げたても同様に価値がないのである。
だから、一つひとつの課題を確実に実行に移し、そしてそれが完全に終了するまでは次の課題に取組まないのである。
毎月いろいろな目標を掲げ、その目標達成のための行動計画もなければ、特別な実行しないで、また新たな目標を掲げる店長達が多くいるが、目標は掲げることに意義があるわけではない。
目標は成果を挙げてこそ最大の価値があることを今一度確認してもらいたい。

行動計画

目標とは自分が達成したいと思っている結果に過ぎないことをまずは頭に置いていなければならない。
目標を達成するためには、目標を達成するために取るべき手段を計画しなければならない。これが行動計画(Action Plan)といわれるものである。
目標が達成されない多くの原因は、この行動計画の不十分さにある。
逆に、しっかりした行動計画が立てられたら、目標への道のりは半分終えたと言えるのである。
準備が結果を決めるのである。つまり、その場主義の場当たり的な対策では、なかなか目標は達成できないということである。
良い結果を得るためには、やはり良い計画が必要である。
良い計画とは、良い結果を得るための仕事の準備業のことである。
スーパー店長達には共通した点がある。それは、場当たり的な仕事は決してしないということである。
彼らは、常に良い成果を得るために万全の準備をしているのである。
それは計画以上の結果を得ることはないということを理解しているからである。
私は店長の仕事は80%の準備業と20%の対応業と考えている。
だから準備に力を注ぐことで、目標通りの結果を得るようにしているのである。

成果の90%は実行力

計画以上の結果を得ることはなかなか出来ないために、良い計画を立てることはなにより重要であるが、計画通りの結果を出すためには、実践での行動力が最終的な決め手になる。
どんなに良い計画であっても、実践での行動力が伴わなければ、結果はゼロに等しいだろう。
成果の90%は、実践での行動力で決まることを忘れてはならない。
そのためには、なんと言っても自分自身の力(スキル)を高めることである。
単にスキルと言っても、それは新たな理論を武装するだけではない。
力(スキル)とは、理論と実践が合体したときにはじめて身に付くものである。
よく理論武装している人と話すが、理論武装だけの人は実体験が少ないために言葉に重みが感じられない。そのことは、その人の店に行ってみるとよりはっきりとする。
言っていることと、やっていることが同じになってこそ、本当の力(スキル)なのである。
そのためには、毎月の目標に対する理論と実践の繰り返しから、自分自身の力(スキル)を高めてゆくしかないのである。
目標と結果の確認とは、そんな自分自身への挑戦なのである。
レッツ・チャレンジスーパー店長への道!

以上